Chapitre 1 sur 2 · A2 · Facile
三本のビール瓶
L’Enfer en bouteille
ある島の村役場から、海洋研究所へ手紙がとどきました。「島の南の浜に、ビール瓶が三本流れついていました。瓶の中には、ノートを破った紙が入っています。ずいぶん前に流れついたようです。三本とも、ふたをしたまま送ります」。
一本目の瓶には、こう書いてありました。「ああ、この離れ島に、とうとう救いの船が来ました。船の上に、お父様とお母様の姿が見えます。白いハンカチをふってくださっています。わたしたちが一番はじめに出したビール瓶の手紙を読んで、助けに来てくださったのでしょう」。
でも、手紙はこうつづきます。「その船の笛の音は、わたしたち二人には、何よりも恐ろしい音でした。わたしたち二人は、これから高い崖の上から、だき合ったまま、深い海へ身を投げて死にます。お父様、お母様、すみません。わたしたちはこの島で、それはそれは恐ろしい罪をおかしたのです。それをつぐなうには、こうするしかないのです」。
二本目の瓶には、長い手紙が入っていました。書いたのは兄です。兄と妹のアヤ子は、船の事故でボートに乗っているうちに、乳母の夫婦や船長たちが波にさらわれ、二人だけでこの小さな島に流れついたのでした。そのとき兄は十一歳、アヤ子は七つになったばかりでした。持っていたのは、鉛筆とナイフとノートと虫めがね、水の入ったビール瓶三本、そして小さな聖書だけでした。