ある日、ぼうし売りのおじさんが、大きなかばんをもって、ぼうしを売りに村へやってきました。
長いあいだ歩いたので、おじさんはとてもつかれてしまいました。そこで、大きな木の下にすわって、少し休むことにしました。おじさんはすぐにねむってしまいました。
木の上では、おさるさんたちがおじさんを見ていました。おさるさんたちは木からおりて、そっとおじさんのそばに来ました。かばんをあけて中を見ると、赤、青、みどり、きいろ、オレンジ、むらさき、ピンクのぼうしが入っています。おさるさんたちはうれしくなって、すぐにぼうしをかぶりました。そして、みんなで手をつないで、たのしくおどりました。
そのとき、おじさんがねがえりをうちました。おさるさんたちはびっくりして、いそいで木にのぼりました。
しばらくして、おじさんは目をさましました。かばんの中を見ると、ぼうしがひとつもありません。おじさんはとてもかなしくなりました。ところが、上を見ると……おさるさんたちが、みんなぼうしをかぶっているではありませんか!
おじさんははじめはおどろきましたが、だんだんはらが立ってきました。「どうやってぼうしをとりもどそうか。」おじさんは、いっしょうけんめいかんがえました。
そして、自分のぼうしをぬいで、おさるさんたちに向かってなげました。おさるさんたちは、おじさんがぼうしをぶつけようとしていると思って、とてもおこりました。だから、おさるさんたちもかぶっていたぼうしをぬいで、おじさんに向かってなげました。
ぼうしが、つぎつぎに下におちてきます。おじさんはぜんぶのぼうしをひろって、かばんにしまいました。おさるさんたちは、ふしぎそうな顔でおじさんを見ています。おじさんはにこにこわらいながら、また村へぼうしを売りに行きました。