小さなせみのシカダは、うたうのが大すきです。でも、シカダのうたは、いつもおなじです。「あたらしいうたをうたいたいな。」とシカダは思いました。
シカダは、かわせみのところへ行きました。「チー、キッ、キッ、キッ!」かわせみがうたいました。でも、シカダは、かわせみのうたをうたうことができません。
つぎに、シカダは、きゅうかんちょうという鳥のところへ行きました。「きゅうかんちょうのうたなら、きっとうたえる!」と思いました。「クルルルル!クルルルル!」きゅうかんちょうがうたいました。でも、シカダは、このうたもうたえません。
それから、シカダは、こおろぎのところへ行きました。「こんどこそ、あたらしいうたをならおう!」「コロコロコロ、コロ、コロ!」こおろぎがうたいました。でも、シカダは、こおろぎのうたもうたえません。
そのとき、雨がふってきました。あひるが「ガー!ガー!ガー!」とうたいはじめました。かえるも出てきて、「ケロ!ケロ!ケロ!」とうたいます。かわせみも、きゅうかんちょうも、こおろぎもやってきて、みんないっしょにうたいました。でも、みんな、じぶんのうたをうたっています。
シカダは、みんなのうたをしずかにききました。どのうたも、シカダのうたとはちがいます。そこで、シカダはじぶんのうたをうたいました。「ミーン!ミンミンミンミー!」すると、みんながいっしょにうたいました。チー、キッ、キッ。クルルルル。コロコロ。ガー、ガー。ケロ、ケロ。そして、ミーン、ミンミン!
それからシカダは、じぶんのうたをうたうことにしました。ときどき、あたらしいうたもつくります。でも、それはいつも、じぶんがうたえるうただけです。