2장 중 1장 · A2 · 쉬움
見つかった死骸
덤불 속
昔の京都の近く、山科の道から少し入った山の藪の中で、一人の男の死骸が見つかりました。見つけたのは、杉を切りに来た木樵りです。男は胸を一突きされて死んでいました。そばの杉の根もとには、縄が一本と、櫛が一つ落ちていました。でも、太刀や馬は見えませんでした。
検非違使という役人が、何人かに話を聞きました。旅の法師は、「昨日の昼ごろ、関山から山科へ行く道で、この男に会いました。女を馬に乗せていて、弓矢を持っていました」と話しました。
放免という役人は、「多襄丸という有名な盗人をつかまえました。馬から落ちたのでしょう、粟田口の石橋の上でうなっていました。その男の弓矢と馬を持っていました」と話しました。
それから、年取った女が話しました。「死んだのは、わたしの娘の夫です。若狭の国の侍で、名前は武弘、年は二十六歳でした。優しい人でした。娘の名前は真砂、年は十九歳です。娘はどこへ行ったのでしょう。どうか娘を探してください」。
娘の真砂は、まだ見つかっていません。いったい藪の中で何があったのでしょうか。