池の尾の寺に、禅智内供というお坊さんがいました。内供の鼻は、池の尾で知らない人がいないほど有名でした。長さが五、六寸もあって、上くちびるの上から、あごの下までぶら下がっていたのです。形は、細長いソーセージのようでした。
内供は五十歳をこえていました。内供は、心の中ではいつもこの鼻を気にしていました。でも、人には気にしていないような顔をしていました。
鼻が長いので、内供は一人ではご飯が食べられません。一人で食べると、鼻の先がご飯にとどいてしまうのです。そこで、ご飯を食べる間、弟子の一人が向こう側に座って、長い板で鼻を持ち上げていました。
内供がいちばんつらいのは、人に笑われることでした。そこで、内供は鼻を短く見せようとして、鏡の前でいろいろな角度から顔を映してみました。烏瓜を煎じて飲んでみたこともあります。でも、何をしても、鼻は長いままでした。
ある年の秋、京都へ行った弟子が、知り合いの医者から、鼻を短くする方法を教わってきました。その方法は、湯で鼻をゆでて、その鼻を人にふませるという、とても簡単なものでした。